2015年10月1日木曜日

川口太陽の家じゅうに作品展「みんなと生きる」



作品展のお知らせです。


10月5日(月)~10月10日(土)まで、
川口太陽の家じゅうに作品展「みんなと生きる」が開催されます。


今回の作品展は工房集の企画ではなく、
同法人の川口太陽の家のじゅうに班というグループのスタッフが、
「じゅうに班の仲間の作品を伝えたい!」という思いで企画したものです。


このじゅうに班のすごいところは仲間との関わり。
知的障害に加え、重い身体障害も併せ持つ仲間たちが作品を生み出すまでには、
スタッフの細やかな取り組みと熱い思いがあるのです。

この作品展では、作品と共にテキストと写真が並び、
じゅうに班の取り組みと仲間たちの姿が見えるような展示になっています。


<DM本文より>
『「ニギリ」は「作品」が生まれる以前の関わり方が立ち現われてくるいわば作品以前の作品です。にぎるという行為の中にある人と人とのコミュニケーションの秘密、支えあうことのリアリティが心を揺さぶります。その支えあいは、人の多様性を大切にする事であり、今回の「じゅうに」の作家が共有しています。
福祉とアートというカテゴリーを超えて人が表現することの意味を問い、考える。アート関係者にも福祉業界の方々にも、そして今を生きるすべての人に是非見てもらいたい展覧会です。』


中津川浩章(本展キュレーター)
 

出展している9人の作家を紹介します。


阿久津康仁

 
足立直久
 

天野孝太郎


石井隆浩


今井幸彦

岡田亜弓

金子慎也


黒川幸司郎





彼らの作品を通して、人間の願いや可能性を感じて頂けたらと思います。
短い会期ですが、最終日には作家の方もいらしてクロージングパーティも開かれます。

是非是非、お越しください。


---------------------------------------------------------------------------------

川口太陽の家じゅうに作品展「みんなと生きる」

【会期】2015年10月1日(月)~10月10日(土) 10:00~17:00 
【会場】工房集ギャラリー(埼玉県川口市木曽呂1445)

【出展作家】
 阿久津康仁/足立直久/天野孝太郎/石井隆浩/今井幸彦/岡田亜弓/
 金子慎也/黒川幸司郎/前田貴  (五十音順)

【関連イベント】
 10月10日(土) 10:00~17:00 集cafeオープン
        13:00~    クロージングパーティ

---------------------------------------------------------------------------------

後に、今作品展によせて川口太陽の家施設長の文章です。
素敵な文章なので、是非読んで下さい。


<「みんなと生きる」展によせて>
 
私がこの仕事についた頃は、「愛される障害者つくり」とだれもが言っていた時代でした。「障害のある人は何もできないのだから、従順で素直になり、みんなから可愛がられることが、一番の幸せなんだ」という考えです。


 
 川口太陽の家の「じゅうに」という班は知的障害に加えて、重い身体障害のある仲間が多く活動している班です。3040年前の考えからすれば、何もできない人たちなので、大切にし、慈しんであげなければいけない人たちになります。しかし、どうも、彼らの願いは、「愛され、慈しまれること」ではないようなのです。「今を生きる一人の人間として、社会の一員としてあたりまえに存在すること」、そんな願いが、毎日の彼らの生きる姿から強く伝わってきます。

 
 毎日の暮らしの中では、多くの介助や支援が必要な彼らですが、「一人の人間として」と彼らをとらえた時には、仲間一人一人が人格の主体者であることは間違いありません。自分の願いや、痛み、喜びが表出され、それがきちんと理解されていく。それがまさに「ニギリ」を行う行為であり、その結果生み出されてきた「ニギリ」そのものが、彼ら一人一人の願いや、痛み、喜びなのではないでしょうか。

 
 また「社会の一員である」こと・・。それは彼らの存在や、行為の結果生み出されたものが社会的、歴史的価値を生み出していくことではないでしょうか。「なにもできないから可哀そう」なのではなく、「何もできない人だから」と社会に決めつけられてしまう事が可哀そうなのです。「何もできない」ではなく「何ができるのか?」、「可能性はどこにあるのか?」。そのことを通しての社会参加。太陽の家では職員と仲間が向き合って大切にしていることの一つです。

 
「ニギリ」は趣味や、クラブ活動とは違います。その瞬間、仲間は主体的であり、その時々の気持ちや、体調、願い、痛み、喜びが「ニギリ」に凝縮され、それが社会的な価値を得て、見る人たちの気持ちを揺らしていきます。「ニギリ」は彼らが社会参加するための、大切な「労働」であり、「自己表現」なのです。その結果得た評価が、彼らの生きる意味になり、励みにもなっていきます。そして彼らの作品が多くの人たちを励ましていきます。

 
 「ニギリ」を通して、色々なことに想いを巡らせてください。その瞬間、「ニギリ」を通して仲間一人一人が社会と、みなさんと、私たちと繋がり、新しい価値を生み出しています。仲間、私たち、みなさんが「みんな」なのです。

川口太陽の家 施設長 松本哲