2015年6月9日火曜日

アトリエ輪 開所式


5月25日に川口太陽の家、工房集が一体運営する「アトリエ輪」の開所式が行われました。
昨年度までは「浦和太陽の家」として活動してきましたが、一体運営する上での立地の問題や
建物の環境上の問題から、川口市木曽呂へと引っ越すことになりました。

 






新しいアトリエが建つにあたっては、これから自分たちがどんな場所で活動するのか
イメージができるように、昨年度から建物が建つ過程も仲間たちと共に足を運びながら
完成を待ちました。
そして、4月からは新しい「アトリエ輪」で仲間・職員ともに心機一転、活動しています。



 




「アトリエ輪」という名前も、仲間・職員・家族みんなで考えました。
2014年3月に行った浦和太陽の家の作品展のタイトルは『Revolution16』。
そのRevolution(レボリューション)の頭文字のRと、
~続けるのINGを合わせると、RING(リング)になる。
このRING(リング)には、仲間たちの作品は革命的であり、
それを今後も続けるという想いをこめています。

リングは輪っかというイメージと、これからも作品を作り続けていく中で、
たくさんの人たちと出会いつながっていくイメージから「アトリエ輪(わ)」としました。
みんなの輪、地域の輪を大切にしたいという想いも込めています。






「アトリエ輪」で活動する仲間も少し紹介したいと思います。

ぼやきを書いている金子隆夫さん。
最近ではライブパフォーマンス「僕がひとつ、あなたの事をぼやいてみせましょう」で
ファンが急上昇しています。


 
 


昨年度リニューアルしたさくらハートの成宮咲来さん。
成宮さんの手からこぼれ落ちるカラフルな銅線は、素敵なアクセサリーになりました。
いつも落とした銅線を周りの仲間たちが拾って、手渡してくれます。





「アーアーッ!!」と大きな声をあげながら、作品に向かう大内健太さん。
環境の変化が苦手な彼ですが、浦和太陽の家で一緒に活動してきた仲間・職員は一緒。
場所は変わっても、周りにいる人たちは変わらない。
「アトリエ輪」でも大きく手を動かして、大きな声とともに自分の想いを作品にぶつけています。




和紙作りから表現活動へと移行して4年目。
窮屈ながら、お互いに協力しながら、思いやりながら活動してきた「浦和太陽の家」。
そこから、広々とした「アトリエ輪」へと移り、仲間たちも思いっきり表現しています。
今後も、アトリエ輪の仲間たちがどのような姿を、どのような作品を
見せてくれるのか楽しみです。







<開所式式典より>

アトリエ輪は、川口太陽の家の近隣エリアにおいて、工房集を含めた連携を強め、多様性のある
活動を発展させていくことを目的として、浦和太陽の家を休所、移転してこの地に開所することにな
りました。開所後には、障害者の豊かな労働の実現にむけてさらに努力してまいりますので、皆様
には、これまでと変わらぬご指導ご鞭撻をお願いします。
(社会福祉法人みぬま福祉会理事長 高橋孝雄)


アトリエ輪開所、おめでとうございます。
今、みぬま福祉会の表現活動の最先端を走る、アトリエ輪の仲間たち。和紙づくりや木工から出発
し、コツコツと共同作業を頑張ってきた経験を糧に、今、仲間たちひとりひとりが輝きを放っています。仲間たちの作品が見る人の心を揺さぶるのは、自分らしく生きたいという切実な叫びや思いが
作品に溢れているから。これからも仲間、職員一体となって冒険し、ますます発展されることを願っています。
(みぬま福祉会後援会会長 足立早苗)


浦和太陽の家からアトリエ輪へ

浦和太陽の家 2012年4月から、和紙作りで培った力をもとにして、仕事の展開を図り、仲間一人
ひとりの想い・願いを大切にする「表現活動」に取り組みだした。しかし、しだいに作業場の狭さや、
建物の問題が出てきた。もっと生き生きと表現活動をするには、新しい場所が必要になってきた。
そうして、たくさんの人の協力で出会ったのがこの場所。2015年4月 アトリエ輪の開所。

仲間たちの『絵画・書きもの』『立体作品』は、それぞれが独創的で印象に残るものである。どれ
一つ同じものはない。作品づくりでは誰もが真剣な表情で向き合っている。そうして、できあがる作品の一つひとつに想いがこもっている。仲間たちは真剣でありながら、どこか和やかな雰囲気を
いっぱいもっている。なかまっておもしろい。

一人ひとりのやりたいことを行う表現活動は、一見するとバラバラのことをしているように見え、まとまりを感じないかもしれない。でも、実際はとても集団での変化を感じる。一人ひとりは大事にされ
ることで、自分のことも相手のことも大事にできるということが仲間の姿から分かる。とても魅力的な仕事である。

この場所で、どんな作品ができるだろうか。仲間たちの新たな姿を見にきてほしい。ぜひ、アトリエ輪においでください。
(みぬま福祉会アトリエ輪施設長 篠崎秀一)

 

2015年6月2日火曜日

伊藤裕 ジェットコースターと富士山

 
 
 
 
5月29日より、長野県茅野市にある「アノニム・ギャラリー」で
伊藤裕 ジェットコースターと富士山」が行われます。

アノニム・ギャラリーでの 個展は、小森谷章さん、納田裕加さん、
足立暁子さんと横山明子さんの2人展に続き、4回目となります。



 

伊藤裕さんのステンドグラスの作品は、既定の枠にとらわれず、
自由な発想の元に制作されています。色とりどりのガラスが組み合わさった
作品達は、思い思いの色や形をつなぎ合わせて、彼の〝その時"の瞬間が
表現されています。





太陽の家に来てから20年間ずっとステンドグラス作りを行っています。
初めの頃は、みんなで流れ作業的に既定のデザインの作品を作っていました。
伊藤さんはガラスに巻くテープを擦ったり、ガラスピースに縁取りのハンダをしたり…。
仕事には集中するものの、すぐに飽きてしまい「ステンドつまらない」ということも
ありました。

しかし、10年程前から既定のデザインの製作から、自分たちで作りたい作品、
自分の作品を作るようになり、伊藤さんの思いが爆発しました。
作りたい作品を作る楽しさを知り、どんどんとオリジナルのステンド作品を生み出しています。


 

 


今回のタイトルにもある「ジェットコースターと富士山」。
実は、伊藤さんはジェットコースターが大の苦手で、山登りももうやりたくない
と言っています。けれど、自分の経験したことの中でインパクトが強いからこそ
作品として生み出されているのかもしれません。







ダイナミックな作品はもちろん、お部屋に飾ると素敵な小物も販売しております。
ぜひ、古民家を改装した温もりあるギャラリーでお楽しみください。

6月13日(土)には、ワークショップを開催します。
ワークショップには伊藤さん本人が来て、一緒にステンドグラスで写真立てを作ります。
予約制となっていますが、まだ受け付けています。ステンドグラスに興味のある方、
伊藤さんに会ってみたい方、ぜひアノニムギャラリーまでご連絡ください。






『伊藤裕 ジェットコースターと富士山』
2015年5月29日(金)-6月23日(火)
10:00-18:00(最終日は12:00まで) 水・木曜休み
6/12は夜営業のため17:00-21:00のみopen

イベント
伊藤さんの写真たて作りワークショップ
日程   6月13日(土) 12:00-15:00
参加費  4800円
定員   6名・要予約(アノニム0266-75-1658)

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「螺旋形の祝福」 伊藤裕のステンドグラスに寄せて


 伊藤裕の作品はステンドグラスというよりステンドの技法を使った立体作品・オブジェと呼んでいいでしょう。ステンドグラスの技法の通常の約束事を無視しながら、生まれる作品は巨大なスケール感があり、見る人が小人になってオブジェの中に誘い込まれてしまうような誘惑に駆られます。

ぐるぐる旋回しながらどこまでも飛翔し移動していきたい伊藤の夢と欲求がジェットコースターとなって羽ばたいていっているようです。ステンドグラスに光を通すとそんな伊藤の夢が美しさとなって現前され神秘的な空間を作り出すのです。遡って考えるとステンドグラスの始まりはキリスト教の教会で神様の存在を感じるためにありました。フランスの画家ジョルジュ・ルオーは画家になる前はステンドグラスの職人でしたが、彼の絵画の秘密は信仰とステンドグラスの色彩によって導かれました。そしてその色彩の美しさと深さは生きることの祝福に通じています。伊藤裕のステンドグラスもルオー同様に生きていることへの祝福と祈りによって導かれ、生まれているのではないかといつも感じています。                                                                                
                                                                                美術家・アートディレクター 中津川浩章
(伊藤裕 作品集より)